第1回 電罰戦トーナメント 初代電罰王者にPerlで挑んだ話
Perl入学式in大阪のサポーターをやっている@Tomcha です。
この記事はPerl入学式アドベントカレンダー2015の14日目の記事です。折り返し地点を過ぎました。昨日はin東京でサポーターをされている@tsucchiさんでした。おや?ブログの到着が少し遅れているようですが楽しみに待ちましょう。
さて、記事タイトルになっている"電罰戦トーナメント"とは?? 初代電罰王者とは??*1
みなさんご存知無いかもしれませんが、平成27年12月10日、グランフロント大阪にて行われた"コンピュータープログラムによる三目並べ*2ゲーム選手権"とその優勝プログラムの事なんですね。聞いた事ないですか?それもそのはず、今勝手に名付けました、スミマセン。
---タイトルの釣りはここまで---
実はこれ、in大阪サポーターの@nqounetさんが主催されている、Perl入学式を卒業した脱初心者を対象にした、Perlで何かを作る勉強会「Perl鍋」で企画された大会なんです。 対戦マッチングプログラムはPerl鍋に参加されている@sago35tkさんがPerlで書かれ、Githubで公開されています。
で、どんなプログラム書いたの?
今回自分に課したテーマは、"コンピューターが自分で考える"プログラムです。 テーマは色々あると思うのですが、”とにかく勝つ(負けない)プログラム”、"過去の対戦結果から学習して成長するプログラム"、"効率良く書いた極力短いプログラム"などなど色々あると思います。今回は最近興味を持っているコンピューター将棋のエッセンスを取り入れて、
- 手を2手先、3手先・・・と先読みする(探索)
- 読んだ手の盤面に点数をつける(評価関数)
- 点数の高い(良い)と評価した盤面になるような次の1手を返す。
を目指しました。あと評価計算にビット演算なんかも詰め込んでみました。*3
...が、これ弱いです。ランダムで手を指すRand君には割りと勝ちますが、初代電罰王のNqounet.pm、Sago.pmには全く歯が立ちません。(笑)
原因は明快で、盤面を評価する評価関数が正しくない(評価の仕方が偏っている)なのですが、まぁ、自分のプログラムが必死で考えてこれが良いんじゃない?と判断した手を指してはいるので、とりあえずは満足しています。
https://github.com/sago35/PerlNabe-Sanmoku/blob/master/lib/PerlNabe/Sanmoku/Tomcha.pm
コードは自分がやりたかった事を詰め込んでいるので、あまり参考になる部分は無いですが、入学式で習った文法の中で、使い所が少し分かりにくい部分の使用例を挙げてみます。
まずは、リファレンス(参照)と値渡しの使い分けについてです。
159 行目 my @datacp = @$data;
これは make_te という、現在の盤面を配列リファレンスで引数にして渡すと、打てる手の候補をどんどん作る(2手、3手・・・の先読みも作る)サブルーチンの中のコードです。
2手先3手先を読むには、現在の盤面に手を打った状態、さらには相手が手を打ち返した状態の盤面に加工して評価する必要があるのですが、元の盤面データを「リファレンスで受け取っている」ので、リファレンスでの値を変更してしまうと元のデータが書き換わってしまい、別の可能性の手を評価する時に元の手が何だったのか分からなくなってしましますよね。
なので、$dataの配列リファレンスをデリファレンスし、@datacpという新しい配列にコピーして加工をしています。
「参照」と「値渡し」の使い分けが必要なケースの例ですね。
次の例は、ループ分におけるnextやlastの使いどころです。
176行目、185行目 next;
これは、次に打てる手を全て読んだ後に、その次の手を読みさらにその次・・・と手を深く読んでいく為にwhileループで手の生成ルーチンを回しているのですが、この中でこれ以上先を深く読む必要がなくなる時、すなわち
- 先行、後攻のどちらかが勝った時(それ以上は読んでも意味が無い)
- プログラムで指定している読みの深さ($depth)まで読みが達した時(何手先まで読むと設定している場合など)
1や2まで読んだ時、それ以上先の手を生成させず、違う手の可能性を読む為に次のループにスキップする例です。
先の手を読むイメージ
さて、ここまで読むと自分でも試してみたくなりますよね??
自分でも作ってみるには
作るべきプログラムの仕様は簡単で、
Mooを使ってプログラムのひな形を継承します。(深く理解してなくても、コピペでOK)
calc_next というサブルーチンを作ります。
calc_next は9つの値が入った配列が引数として渡されます。
clc_next は1つの数字を返します。
そう、書くべき内容はたったこれだけです。
実際にやってみよう
まずは@sago35tkさんのGithubページからソースコードを任意の場所にダウンロードします。
git clone git@github.com:sago35/PerlNabe-Sanmoku.git
まずはデフォルトで入っている「Sample君」と「Rand君」を戦わせてみましょう。Sample君は左上から順に空いているマスに駒を置くプログラム、Rand君は空いているマスにランダムに駒を置くプログラムです。
実行の仕方は、ダウンロード時に生成された'PerlNabe-Sanmoku'ディレクトリに移動して、'script/sanmoku.pl' を実行します。Sample君、Rand君等の思考プログラムは 'lib' ディレクトリに入っていますので、パスを通す(Perl に lib ディレクトリの中のプログラムを読みこませる)必要があります。ターミナルでの操作はこんな感じ。
cd PerlNabe-Sanmoku
perl -Ilib script/sanmoku.pl Sample Rand
すると画面はこんな感じになってゲームが始まります。 エンターキーで1手ずつ進めていきます。
では、実際に自分のプログラムを作ってみましょう。 Sample.pmを同じディレクトリ内で別名をつけてコピーします。これを改造していけば、オリジナルのプログラムが作れちゃいます。
仕組みは、サブルーチン calc_next に現在の盤面が9個の要素のリストが渡されます。先頭から順番に、左上、上、右上、左、中、右、左下、下、右下とZ順になっています。配列の中身は、0が空、1が自分の駒、2が相手の駒です。
盤面に駒が無い状態だと、(0,0,0,0,0,0,0,0,0)のリスト、センターに自分の駒がある盤面は(0,0,0,0,1,0,0,0,0)と表されます。
そして、calc_next はリストを受け取って処理をした結果0〜9の数字を返します。これが自分の打つ駒位置をあらわします。リストの順番と同じですね。
このサブルーチンの中でどう計算して手を考えるかがそれぞれのプログラムの差となります。
そして、先頭行に書かれている
package PerlNabe::Sanmoku::Sample;
の末尾のSampleの部分を自分の単語に書き換えます。頭文字は大文字です。
そして、ファイル名も書き換えたものと同じにします。
package PerlNabe::Sanmoku::Tomcha;
だと、Tomcha.pmといった具合です。
プログラムがちゃんと完成すれば、対戦させてみましょう。上に書いた通り、コマンドラインから実行します。第1引数が先手、第2引数が後手です。引数はファイルの名前から.pmを除いたものです。
perl -Ilib script/sanmoku.pl 第1引数 第2引数
どうでしょう、ちゃんと対戦が始まりましたか?
何か自分で作ったものが動くって、楽しいですよね!!
Let's enjoy programming. Happy Hacking!!
Perl入学式のその先は・・・
Perl入学式は全6回で終了です。全6回の内容を習得して初めてスタートラインに立てた状態です。スタートラインに立った後、どう使っていくか、どうコードを書いていくか、どう学習を発展させていくか、がとても大事に思います。
Perl入学式in大阪では卒業後の関連勉強会として、「Perl鍋」(Perlでそれぞれ何かを作る勉強会)や「なにわPerl」(自習目的のもくもく会)などを開催していますので、是非参加してみて下さい。新しいプログラミングの楽しさが発見できると思います。
わたくし@tomcha_が主催している「なにわPerl」では、年末の12月30日にもくもく会を開催します。
関西在住のエンジニアさん、学生さん、ちょうど帰省しているエンジニアさん、学生さん、その他なにか勉強やもくもく作業をしたい方(プログラミング関連の)は是非ご参加下さい。もちろん、サンデープログラマーの方もどうぞ!(主催者もアマチュアプログラマーです。)
年末にもくもく会を開催します。関西在住エンジニアさんも帰省エンジニアさんも学生さんもどうぞ〜!
第4回なにわPerl (12月30日) #naniwaperl https://t.co/x9unuJTS2a
— tomcha (@tomcha_) December 7, 2015
また、東京では「五反田Perl」、福岡では「天神Perl」も関連イベントとして開催されています。日程など詳しくはPerl入学式公式ページでご確認下さい。
さて明日は
明日の「Perl入学式 Advent Calendar 2015」は、in東京で受講生からサポーターに成られ、先日講師デビューを果たされた@gomaaburamax さんの記事です。楽しみですね!